Pressure ulcer

褥瘡・とこずれ

褥瘡・とこずれ

褥瘡(とこずれ)は、長時間にわたって同じ姿勢を続けることで皮膚とその下の組織が圧迫され、血流が悪化して生じる傷です。特に寝たきりの状態や車椅子を使用している方に多く見られ、圧力がかかりやすい部位(例えば、仙骨部やかかと、臀部など)に発生します。長時間体を動かさないことが原因となり、皮膚やその下の組織が壊死し、潰瘍(かいよう)が生じます。褥瘡は初期の段階では軽度な赤みや腫れに見えることがありますが、進行すると深刻な傷となり、治療が長期化することもあります。

原因と症状

褥瘡の主な原因は、「圧力」「摩擦」「湿気」の3つです。長時間同じ姿勢でいると、体重が特定の部位に集中し、血流が悪化します。この圧力が続くと、皮膚や筋肉が酸欠状態になり、組織が壊死する原因になります。また、寝返りを打たないことによる摩擦や、汗や尿などの湿気も皮膚を傷つけやすく、褥瘡を引き起こす要因となります。
褥瘡が進行すると、次のような症状が現れます。

初期段階では、皮膚が赤くなり、触ると熱を持っていることがあります。

進行すると、皮膚が剥がれ、潰瘍が現れ、場合によっては深い傷や感染が起こることもあります。

更に進行すると、骨や筋肉が露出することもあり、非常に痛みを伴います。

治療

褥瘡の治療は、傷の程度や位置によって異なりますが、基本的には圧力を軽減し、傷の治癒を促進することが中心となります。治療方法には以下のようなものがあります。

体位の変更

定期的に体位を変えて、圧力がかかる部位を軽減することが最も重要です。寝たきりの状態が続く場合、2時間おきに体を動かすことが推奨されます。

専用のマットレスやクッションの使用

圧力を分散させるため、エアマットレスやフォームクッションなどを使うことで、褥瘡の予防や治療に効果があります。

傷の管理

褥瘡が進行してしまった場合は、傷口の清潔を保ち、感染を防ぐために適切な治療を行います。塗り薬や創傷用のドレッシングを使うことがあります。

栄養管理

傷が治癒するためには、十分な栄養が必要です。高タンパク質な食事を摂ることが、傷の回復を助けます。

手術的治療

深刻な褥瘡の場合、壊死した組織を除去することや、手術を行うこともあります。

日常生活での注意点

褥瘡を予防するためには、日常生活でいくつかのポイントに注意することが大切です。

体位の変更

寝たきりの方や座りっぱなしの方は、2時間に1回は体の向きを変えるよう心掛けましょう。少しでも体を動かすことで、圧力が分散され、褥瘡のリスクを減らすことができます。

清潔を保つ

皮膚が湿った状態が続くと褥瘡の発生リスクが高まります。特におむつを使用している場合は、こまめに交換し、皮膚を乾燥させることが大切です。

栄養バランスを整える

傷の治癒を促進するために、バランスの良い食事を摂ることが必要です。特にタンパク質や亜鉛など、皮膚の回復を助ける栄養素を意識的に摂取しましょう。

マットレスやクッションの活用

寝たきりの方や座っている時間が長い方は、エアマットレスや専用クッションを使用して圧力を分散させることが予防につながります。
褥瘡は予防が可能な疾患ですが、一度発生すると治療が長期にわたることがあります。日常的に体位を変え、清潔を保ち、栄養を摂ることが最も効果的な予防方法です。万が一、褥瘡が疑われる場合は、早期に医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。